変動費と固定費、そして付加価値の関係:理解すべき基本構造
変動費と固定費、そして付加価値の関係:理解すべき基本構造
事業の運営を理解するうえで欠かせないのが、「変動費」「固定費」、そして「付加価値」の関係です。今回は製造業を例に解説しますが、この構造は他の業種にも応用可能です。
売上高の構造:外部費用と内部費用と利益の結びつき
売上高は、大きく分けて3つの要素から構成されています。
外部から仕入れた価値(例:材料費や外注費)
内部費用(例:人件費、減価償却費、その他費用)
利益
これらを足し合わせたものが売上高となります。ポイントは、「外部から仕入れた価値」を変動費として考えることです。たとえば、製造業であれば材料費や外注費、小売業であれば商品仕入れが該当します。
変動費の定義とそのシンプル化
専門家の中では、交通費や通信費などの細かい費用を変動費に含めるべきだと主張する場合もあります。しかし、意思決定の実用性を重視する観点から、変動費を「材料費と外注費」に限定するのが現実的です。このシンプル化によって、以下のメリットが得られます。
分析が簡単になる:複雑な費用分類を避けることで、データの解釈が明確に。
意思決定が迅速に行える:余計な要素にとらわれず、重要な判断に集中できる。
もし分析結果が想定から大きく外れる場合は、自社特有の事情に応じて微調整を行うことも必要です。ただし、あまりに細かく分類しすぎると全体像が見えなくなるため、注意が必要です。
付加価値とは?
付加価値は、売上高から変動費を差し引いたものとして定義されます。このシンプルな算式が、多くの場面で有効に機能します。
付加価値 = 売上高 − 変動費
付加価値は、会社が自ら生み出した価値の総量を表しています。これが人件費や設備費など、内部で発生する固定費をカバーし、最終的な利益を生み出す基盤となります。固定費+利益=付加価値とも表現できます。
利益構造の全体像
売上高の構造を理解すると、利益構造の全体像も自然と見えてきます。
売上高は、外部費用(変動費)と内部費用(固定費)、そして利益で構成されます。
売上高から外部費用を控除し、さらに内部費用をカバーした残りが、最終的な利益となります。
例を挙げると、製造業では以下のようになります:
売上高から材料費と外注費を控除して付加価値を算出。
付加価値から人件費や設備費を差し引き、利益を計算。
まとめ
変動費と固定費、そして付加価値の関係を理解することは、経営の基本です。特に、分析の実用性を重視してシンプルな枠組みを採用することで、意思決定のスピードと精度が向上します。
売上高の中に含まれる「外部費用」と「付加価値(固定費+利益)」の関係を押さえ、利益をいかに高めるかを考えることが、業績向上のカギとなります。
利益構造を掴めばこんな整理もできる!
利益構造を掴み、収益性か生産性か改善ポイントを特定し、効果が大きいところに手を打つ。
さらにこんな使い方も!
獲得したい利益を決めて、固定費を足して、獲得すべき付加価値を算出。
獲得すべき付加価値に変動費を足して、獲得すべき売上高を算出(実務的には粗利率で割り戻す)。
獲得すべき売上高を獲得するための販売計画につなげる。
こうすることで、戦略と利益が矛盾なく連結する!