「パレートの法則」をご存じですか?
「パレートの法則」をご存じですか?
「成果の8割は重要な2割からもたらされる」というこの法則は、経営においても非常に有効です。一部の得意先や商品が売上の大部分を占めるという傾向を利用して、限られたリソースを効率よく配分するのが「ABC分析」の基本的な考え方です。
パレートの法則とは?
「社会全体の8割の富が2割の高所得者に集中している」という例に象徴されるように、この法則は「偏りがある」という特徴を持っています。比率は必ずしも8:2ではありませんが、経営の現場では、多くの成果が一部の重要な要素に依存していることが少なくありません。
ABC分析の実践
経営では、この法則を活用して、重要な得意先や商品にリソースを集中させることで成果を最大化します。たとえば、ある小売店では全商品を分析した結果、売上の80%を占める上位20%の商品が特定されました。この商品群にプロモーションや在庫管理のリソースを集中したことで、効率的に売上が向上したケースがあります。まずは、商品や得意先を以下のように分類します。
Aランク:売上の大部分(上位20%程度)
Bランク:中程度の重要性(次の30%程度)
Cランク:売上の少ないもの(残りの50%)
この分類に基づき、リソース配分を最適化するのです。
活用時の留意点
ABC分析は効率化を目的としていますが、以下の視点を忘れないようにしましょう。
1. 安全性の視点
1社の得意先や1種類の商品に偏るとリスクが高まります。たとえば、売上の30%を超える割合を1つの得意先に依存するのは避けるべきです。
2. 成長性の視点
現在の売上が少なくても、将来性のある商品や得意先を見逃さないことが重要です。特に下位5%に位置するものにも目を向けるべきケースがあります。
効率化の具体例
商品や得意先の半数が、売上全体の95%を占めることがよくあります。しかし、残り5%しか貢献しない部分に20~30%ものリソースを費やしている場合があります。この非効率を改善するには、まずデータを可視化し、売上や利益率を商品別・得意先別に分解して分析することが重要です。
その後、重要な項目に絞り込んでリソースを再配分し、改善の効果を定期的に検証します。これにより、成果の出る活動に集中できるようになります。
さらに、重要でない商品や得意先については、収益性や戦略的価値が低い場合、整理・廃止をし、新たな成長のためのリソースを生み出します。つまり「スクラップ・アンド・ビルド」です。
ABC分析の活用範囲
販促計画や在庫管理、リソース配分など、ABC分析の応用範囲は非常に広いです。たとえば、あるアパレル企業では在庫管理にABC分析を導入し、Aランクの商品には頻繁な発注と在庫補充を実施する一方、Cランクの商品は在庫を最小限に抑えることでコスト削減に成功しました。また、販促計画では、Aランクの商品に特化した広告キャンペーンを展開し、売上を大幅に伸ばしたケースがあります。まずは重要な得意先や商品を特定し、リソースを最適化することで、経営の効率化を実現しましょう。
このように「偏り」を活かして経営を効率化するABC分析。ぜひ取り入れて、成果の最大化を目指してください!